MARIKO

MARIKO

P1120558.JPG「MARIKO」という名のワインを開けた。
酸味が新鮮な上品な赤ワインだ。今夜はオフクロの誕生日会をやったんだ。72才だよ!  
60才の時に心筋梗塞で倒れ、心臓が部分的にしか動いていないということで、余命宣告されていたんだけれど、 その後も心筋梗塞、乳がん、股関節の手術を何度も繰り返し今日も元気だったよ。
 半年くらい前にも決定的にフェイタルな状況になったんだけれど復活してきた。

 毎年、よく今年もいきたねーなんてイイながらあれから12回目だ。  オッパイがなくなったとや、抗がん剤の影響でハゲチャビンになったときは、もの凄く落ち込んで居たけれど楽天的な性格が幸いしてか、道は続いている。
  余命宣告とか忘れちゃっている感じなんだよP1120559.JPGね???  
 今年になってからも、オイラがクリニックの別棟拡張工事をしたときに、「ついでに小さくていいから図書館を作ってくれないかしら」なんて言い出すんだよ。
「そんなもの作ったってこのネットの時代に誰が利用するんだよー」P1120561.jpgといってお蔵入りになったけれどね。  

あとから裏をとってみると、芹沢先生の本に囲まれている生活を夢見ているらしんだ。
芹沢先生とは小説家「故・芹沢光治良」のことだ。 中学生の頃からのファンで芹沢文学会の会員になってもうかなりたつ。

  オフクロがあまりにも絶賛するのでオイラは反抗して絶対読まなかったんだ。十代ってわりとそうでしょう(^_^;)    さすがにここ数年は反抗期も終わっているので、自ら芹沢先生(オフクロがこういうのでオイラも自然とこう呼んでいる)の本を手に取ったんだ。
  そこには独自の世界があって琥珀色の芸術になっている。 

 いま現在も「人間の運命」という大河小説を読でいるよ、いま9巻目・・。いままで無視してきたことを悔いている。     
P1120560.JPG あるOK牧場のときにね、読書家のツカちゃんが「なにかお薦めの本ないかなー?」っていったので芹沢光治良を作家として紹介したんだ。
 決して知名度が高い作家ではないから。 

・・・・・・・しばらくして「巴里に死す」を読んだって連絡が来たんだ。 
この本のさわりを内容紹介から抜粋すると『愛と知の苦悩の内に成長した女性の悲しく美しい魂の記録。大江健三郎、遠藤周作が絶賛し、日本国内のみならずフランスを中心にヨーロッP1120573.JPGパで激賞されノベール賞候補になった。
舞台は1920年代の美しい巴里・・・。

「巴里に死す」の復刻版が
でるときにオフクロは文学会の会員代表で「推薦文」を書いているんだ。
それがオフクロのプライドみたいでさ(^_^)何枚もそのコピーをわたされたもん。
 とにかく 「死んだときは棺桶の中を芹沢先生の本で一杯にして最後は海に散骨して下さい」なんていっているくらいだから・・。  
ツカちゃんがオイラ経由で「巴里に死す」を読んで絶賛していたって伝えたときのオフクロの紅潮した顔は今も忘れないよ。 
  
一ヶ月以上前にツカちゃんからお袋さんと一緒にどうぞと添えられ「MARIKO」が送られてきた。
 「まりこ」というのはP1120563.JPG「巴里に死す」に登場する主人公のひとりなんだ。  オフクロにみせたら涙ながらに目をパチクリさせていたよ。 時空を超えてピンと来たみたいだった。
 「これは、これは 是非、特別な日に・・・」ってやっと声を発していたくらい。
「このわかるひとにしか、わからない。でもわかるひとにはわかる特別なもの」って最高だよね! 

「巴里に死す」を読み込み、さらにワインに相当詳しくなければこういった粋なプP1120562.JPGレゼントは思いつかないよ。 
 Merci Beaucoup  

飲めない酒を
「今日だけはちょこっと飲めるわー」と言ってはしゃいでいた
72才のオフクロを前に、
その生存証明であるかのような
染み込むイイ酒を、 オイラは飲んでいた。

「MARIKO」へのコメント

オイラ 師匠のお母さん、妹さん、お父さんに 大変お世話になっているんだ 
皆 何時も笑顔で師匠のお父さんの診察のアシスタントをされていた。
お父様が現役時代にクライアントとして 心が洗われる 気持ちの良い 早朝の診察時間が頭の中に蘇って来た(クライアントのために 看護師さんたちの 正規の出勤時間前に診察をされていた 皆知っているよね 診察後の夜でも 飛び込めば快く見てくださった)
師匠のDNAには お母様の文学好きの遺伝子が脈々と継承して流れている。
Merci Beaucoup 
O先生も 心配りの素晴らしい 人だ!!
師匠の母上『城戸裕子さんの 72歳のお誕生日に 乾杯!!』
 
『おめでとう御座います』
オイラも 自分の人生だらだら生きている事は 各人に与えられた有限の 時間の無駄遣いをしている事に気付き 反省しています
今からの残りされた時間に どんな壁が出てきても 乗り越えて見せるぞ!と言う勇気と目に見えぬ パワーを今回のブログで頂いた。
感謝 感謝 師匠も頑張っているし・・・・ 

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カテゴリー:院長ブログ  投稿日:2013年12月12日

         

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