復讐の序曲
そもそもゼミと言うものは、歯科大の頃にはなかった。
卒論も無い。 学士試験、国家試験の2大試験が、歯科大生の最終学年をガンジンガラメにしていたと言う構図だ。詰め込むだけ詰め込んだ1年だったよ。 思いで深い1年だったけど、創造はなかったなー。
反対に、K大の最終学年は、論文、ケースプレゼンテーション、この繰り返し。
この日は、オイラを含めて、数人が、F教授や、ゼミ生の前で、ケープレすることになっていたんだ。 オイラも、卒論の内容をケープレする為、パワーポイントでしっかり準備していったよ。 全部で9枚。 起承転結で言うと、「転」に当たるところに、山場をもってきたんだ。7枚目と8枚目のスライドね。 問題は、この山場が自信がないんだよね! 数式とグラフを使って、オイラの仮説を証明する場面なんだけどさ・・。
でも、他のスライドはどこから突っ込まれても大丈夫。 そこでオイラは、7枚目と8枚目は、早口で、さーと切り抜けようと、作戦を立てて望んだってわけね!
F教授が、室内に入ってくると、早速、「それでは、だれから、イキマスか!?」 とゼミ生を見渡しながら首をグルリと一回転させた。
「はい!」と即オイラは、手を挙げたよ! こういうのは、さっさと終えたい気性だからさ! ケープレに限らず、結婚式のスピーチでもそうだけど、人前で話すのは、得意分野なので、抑揚をつけながら、スライドの1枚目、2枚目、とスイッチしていく。 ゼミ生の、ざわざわとした、視線を見方につけて、オイラも、登り調子! よし!オイラのペースだ!
「オイラ ワールドへようこそ(^^)/」
そして佳境へ、7枚目、「と言うわけで、この説は、証明されるわけです」と言いながら、次のスライドに移ったと同時に、F教授から、 『今の戻して・・!』
ぎくーーーー! マズイ! 案の定、「それでは、ナッシュ均衡は何処になるんです? そのことによって、なぜ、その仮説の証明になりますか?」 ときたもんだ!
キビシイ、ところついてくるよなー。 それこそオイラに、余裕があれば、「うーん、それはいい質問だねー」とかやるんだけどさー!
完全にテンぱっちゃってさ、もうしどろもどろ・・・「えー、それは、どう考えても、こう言う結論にしかならないと思えまして・・。」 『先行研究と対比してますか? 』 などと魔の手が・・。
そうやってオイラが追い込まれ始めると、遙かに年下の平成生まれのゼミ生からも、「パレート効率性の判断におかしな点がある、そこのところの勉強が足りないと思う」とかなんとか、
もう3人くらいから総攻撃・・。
チクショー! いつも麻布ラーメン驕ってやってるじゃんかよー! アイツら許さん!!そんな調子で8枚目のスライドも、ケチョンケチョンさ! なんとか9枚目の「結論」で、かっこつけたモノノ、完全に潰裂・・。
ホントに剣山の上に立っている気分だった。 さすがは、K大の神童と呼ばれていたF教授だよ。1発でオイラの弱点を見抜いてきた。 オイラの論文が「穴」だらけである証明になってしまったけどさ、まあ流れる血にはなった。
オイラがトップバッターだったので、それからの時間は、大人げなくも、先ほどオイラを刺した、ゼミ生への復讐に燃えたよ! 「それは、おかしい、そもそも、標準偏差と平均は違うでしょう」とかなんとか・・。 そんなことをしていて、ふと、オイラは気づいたんだ。
復讐と言ってもディベートで復讐するわけだから、相手にの言う事を、把握出来なければ、声が出ないんだ。これは痛いほど鮮烈!!
F教授のゼミは言ってみれば、復讐のやり合いみたいなモノで、教授もその風景を嬉しそうに見ているんだよ。
この空間が、なんていうのか、たまらないんだ・・。 終わったあとで、 ゼミ生に、「イジワルしないでよー」なんて冗談言い合えるのは、大げさでなく、幸せな時間体験なんだ。同じ、ため息がある。
序曲が、聞こえて来る。
この日も、F教授に、「まだまだ勉強不足ですいません。 痛いところを突かれました。次回までに、先生やゼミ生を納得させる論文に仕上げてきます」と言ったらさ、
「サンデル教授なら、もっと核心ついてきますよ、そう言う気持ちで、取り組んで下さい」 ・・。 「論文の書き直したら、メール下さい。個人的に一度見ましょう。」とまで言ってくれた。 サンデル教授とは、ハーバード白熱授業のマイケル・サンデル教授だろう。
クーーー泣けてくるぜ・・。
がんばるぞ! まだまだこれからだ。。!
なんかデッカーイ、キャラメルアート! ついうれしくなっちゃった!
「復讐の序曲」へのコメント
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カテゴリー:院長ブログ 投稿日:2013年6月2日
佳境に入ったK大卒論のケースプレゼンテーション。 流石、教授 師匠の飛躍した理論をずばり見抜き 突っ込むところなんて。ゼミ生の質問は 抽象的であっても F教授の突込みには ヒア汗が。若き血潮の慶応。うんと血にまみれ這い上がって素晴らしい論文の完成を。伝説のゼミ生になってください。
オイラ 昔を思い出したね。 ここは、スーと逃げたいとひそかに思っているところを 的確についてくる 評価する教授達専門家の顔を鮮明に思い出したね。
オイラなんか足元から壊された感じだったから 冷や汗処でなかった。 未だに 夢にまで出てくる 孤立し固まった自分の姿。 『この、私の論法が正しいのです』と何故いえなかったのか?
師匠の指導教授は、心優しいなあ
「サンデル教授なら、もっと核心ついてきますよ、そう言う気持ちで、取り組んで下さい」 ・・。 「論文を書き直したら、メール下さい。個人的に一度見ましょう。」こんな心優しい言葉をかけてもらえるなんて 師匠はしあわせだなぁ。頑張るぞ!そんな気持ちを奮い立たせてくれる教授の言葉と 頑張る師匠。 まだまだ、来春までは時間がある 後何回 つまずくのかな? それだけ、素晴らしい思考力 論理の組み立て方法が 身につくのだと思えば。
素晴らしい教授と ゼミ仲間 幸せな環境に生き。幸せな時間を過ごす 師匠。応援しています 早慶戦まであと何日ではないけれど