堕落

人間は堕ちる。それを防ぐことは出来ないし、
防ぐことによって、人は救えない。　堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わねばならないから・・
と、堕落論調で、口火を切ったのにはわけがある。

先日、フリーキャスターの辛坊治郎さんが、ヨットでの太平洋横断に失敗し、自衛隊に救助された。
全盲セーラーのヒロさんと共に、米サンディエゴを目指した。　辛坊さんが癌で、「死ぬ前にやりたいこと」という、チャレンジスピリットも話題になり、ものすごい注目度だったんだよね！
期待もいっぱいで、24時間TVもバックアップしていた。
それが、理由はどうあれ失敗したものだから、
急に風当たりがt強くなった。
25日の自民党国防部会で、辛坊さんの行動を批判する意見が相次いだという。　要は「そんな個人的なことに、税金を投入している海上自衛隊を派遣すべきだったのか？」　ってことね！
「自己責任だろう、自分で救助費払えよ」といった、無責任なネット難民の声もあがっている。
横断成功すれば、賞賛の嵐だったに違いないのに、転ぶと、魔女狩り状態だ。
闘う君のことを、闘わないヤツは笑う。

辛坊さんもヒロさんも、ヨットのシロウトではないんだ。準備はシッカリしていた。でも、自然はコントロールできないんだ。今回の事故は、クジラに激突されたようだけれど、まあ仕方ないよ。
　オイラもさ、大学でヨット部に入部したから、太平洋横断したい気持ちは痛くよくわかるよ。
いま、そっちのほうの夢は「アマゾン川・白鳥ボート下り」で揺るがないけど、「風だけで、太平洋横断してみたい」というの・・わかるなーー。

今、辛坊さんは絶望のどん底だと思う。またゼロからの出発になる。
カラダも言うことをきいてくれないし、氷点下からの出発とも言える。

自分の平凡さを、誤魔化すために、個性や才能を否定し、徒党を組むサラリーマン。才能の貧困救済組織。
　胸の灯も、芸術も、希望の光もみんな、卑小な生活に消されてしまう。
　考える事を放棄すれば、人生は気楽だ。
考える苦しさから救われるかもしれない。

でも、いずれ気づくだろう。
死んだ人間は再び目覚めることはないが、人の噂ばかりしているような輩は目覚めても魂は死んだままだ。
理智も抑制も抵抗もないことは、これほどまでに、あさましいことだと・・。
少なくても辛坊さんはこの枠のヒトではない。

到底、救助不可能な状態から　辛坊さんとヒロさんが、助けられたとき、助けてくれた自衛官に名前を聞いた。
　「ありがとうございます、是非、名前をおしえていただけないでしょうか」
『チームとして来ているので、名のれません』　
「では、せめてそのチーム名だけでも教えてもらえないでしょうか」　
ベリッと、自衛官は無言で肩のワッペンをはがし、辛坊さんに手渡し、去っていった。　
ワッペンには　《海上自衛隊・岩国基地・第７１航空隊》の刺繍文字。

まるで映画のワンシーンだ。

人間は堕ち抜く為には弱すぎる。カラクリ無しでは生きられない。　民主主義というカラクリ、ヒューマニズムというカラクリ。
人は正しく堕ちる道を、堕ちきることが必要なんだ。　　
辛坊さんも、ドラマティックなワンシーンに登場できたのだもの、また、伸びてくるさ。　そのためには、堕ちきったほうがいい。　中途半端に、どこかの枝に捕まっても、長くは持たない。　ここは勇気を持ってストンと堕ちる。

クライアントの海上自衛隊のDさんに聞いたところ、
第７１航空隊のメンバーは精鋭中の精鋭！
とのことだった。　
自衛隊に敬意を表するオイラとしては、目頭が熱くなる言葉だった。　　
今朝は果たして、空が晴れて、オイラの背に太陽の光が注ぐだろうか。
　　

無念なき人生に”面白み”なんか無いんだ。
　　意志さえあれば　必ず再浮上できる・・
　　もっともっと　高くに・・・・！！

「堕落」へのコメント

カテゴリー：院長ブログ  投稿日：2013年6月26日