小さな来訪者

小さな来訪者

P1080441.jpg昨日、クリニックの院長室に、ちいさな来訪者があった・・
3歳の、Sちゃんだ・・診療前の朝の時間の突然の訪問だったので、
オイラも、すったまげたね!・・やたら人なつっこくて面白いんだ。 

 オイラの部屋に来たからには、永ちゃんバスタオルでグルグル巻きだ。  いきなりバスタオルを剥ごうとするので、何かと思ったら、ピースさいんだった(^_^)v   
久しぶりに小さな来訪者をだっこしたら、ある塾の先生の話が、なんでだか思い出されて、しかたがなかった。 
そんなんで、その話を綴っておくよ。 
 オイラの、秘密の箱に入っている、大切にしている、エピソードのひとつなんだ。
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その塾は、いわゆる、ごく小さな私塾で、色々な生徒が来るんだ。 
 対称は中学生・・T先生は24歳で、先生としては新米だ。
K君は、中2の時に入塾してきた。  しかし宿題はしてこない、授業中は落ち着かない、他の生徒の迷惑にしか成らない。
 
それでT先生は、初めは、「おいK、静かにしろ・・なんで、宿題をやってこない!!」 などと、怒鳴っていた。 もちろん悪化こそすれ、全く効果無し!  若き教師は、どうしたものかと、苦悩の日々が続いたという。  

そんなとき、そのT先生は、母親を癌で亡くしてしまうんだ。 
  「あー、P1080442.jpg親孝行の一つも出来なかった、オレは、いつもアマノジャクだった」、時を悔いても。もう、戻るわけもなく、無念だけが残った。
 
「母ちゃんだけは,どんな時も、オレの味方だった。どんな時も・・」
  
葬式の次の日、塾にいくと、また、Kが宿題もやってこず、隣の生徒にしつこく話しかけていた。

  「お前な、今。夜の9時だけど、この時間に、お前の父ちゃんは家に帰っているか?」
P1080443.jpg『まだ、帰っていません、いつも遅いから・・』
「いつも、遅いのか・・父ちゃんは 何処にいるんだ?」
『そりゃー会社でしょう』
「会社で何をしているんだ」
『えっつ、仕事!』
「仕事をしているのか。じゃあ父ちゃんは、何の為に仕事をしているんだ?」
『お金を稼いでいます』
「そうか、そうだな。それで、そのお金はどう言うことに、使っているんだ!」
『食べ物を買ったり、服を買ったりです』
「そうか、じゃあ、この塾は、どうだ?」
『そのお金も、そこから出してます』
「そうか、じゃあ、お前の父ちゃんは、この塾にお前をやるためにも、働いているんだな?」
P1080445.JPG『うん』
「それじゃあ、母ちゃんはどうだ? 今何してる?」
『たぶん晩ご飯を作っています』
「ご飯をつくっているのか? それは誰のために?」
『僕のため』
「おおそうか。じゃあ、家に帰ったら温かいご飯とか味噌汁とかあるのか。いいなあ。今、母ちゃんは、どんな気持ちでお前のご飯を作って居ると思う。」
『・・・・・・・・・・・・・』
「母ちゃんは、たぶんこう思っていると思うぞ。お前がこんなに遅くまでimage.jpegimage-2.jpeg塾で勉強をしている、帰ってきたらチョットでも、温かく栄養のあるものを、たべさせてあげようって。
お父さんが、今、こんな時間まで働く事が、お前の勉強の助けに、なるんだったら本望だって、きっとそう思って働いてくれてるんだよな。     そんな、父ちゃん、母ちゃんに対する、答えが、授業中に騒がしくすることなのか?」
『いえ、違います』
image-4.jpeg「じゃあ、ここにダンプカーが突っ込んで来たとしよう。先生は危ない!と叫ぶことはできるけれど、ダンプの前に飛び出して君を助けることは出来ないと思う。悪いけど君のために命まで張ることは出来ないんだ。ところが、ダンプの前に立ちはだかって、君を横へ突き飛ばし、代わりに自分がダンプの下敷きになってでも、君を助けてやりたいという人が居る。それは誰だ?」

K君は ハッキリと答えた『 父と母です』・・・と。
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「自分の命に代えてもお前を守ろうとするそのimage-9.jpeg人間が、今この時間
。お前に願いを込めて働き、ご飯を作っている。 そんな大切な人の気持ちを、踏みにじるような人間にだけは、なって欲しくない。勉強が出来ないなら、それはそれでいいさ! でも、人としての大切な魂まで、忘れんなよ!」

K君は、涙をボロボロ流し、それ以来・・授業に向かう姿勢を一変させた。
 中3の夏以降は、数学においては、満点以外ないという。
    
image-11.jpeg人は、キッカケさえあれば、変われる生物だ!    
ちいさな来訪者の、Sちゃんを見ていて、
「トビキリノ出逢いのある人生になるといいな・・」という思いで、
YAZAWAタオル巻いてやったんだ! (^^)/

  【キッカケ】・・とても、イイ響きだ! 
Sちゃん!それを生かせる男になれよ!

「小さな来訪者」へのコメント

師匠昨夜の某テレビ局で永ちゃんのスペシャル番組見たでしょう。
オイラは録画が出来るようになってからTVが嫌いでテレビ持ってないんだ だから昨夜も見ていない。(意図的に編集し偏見が一杯込められてしまう 当然発信者にはそれが無くては著作の意味が無いのも解かるけれど)
今日の秘密の宝箱の話 感動したね。
大人が真剣に子供に対応しない現代 K君の様な行動の(ADHD-注意欠陥/多動性障害)子供が増えているらしいんだ。 
親が真剣になって子供と対応していない 愛着欠陥て言うらしい 
スマホを必死になってみても 自分の子供の目を見ながら話さないし 
真剣に子供の心を読もうとしない親が一杯らしい 
子育て放棄の動物なんて 現代社会の中でも人間が一番多いらしい。 
塾のT先生のように大切な肉親をなくして初めて人間らしくなり 走り回るK君にしみじみと真剣に話をしてK君の心にT先生の言うことが響いて気持ちがすっかり変わったのだと思うよ。
オキシトシンの豊かな環境は愛着型育成が最もよく効く実験結果がある。
子供を抱きしめ 母乳で育てる 自分の親は(母親)は子供にとって安全地帯である 
これを放棄されたら 子供は何処に助けを求めたらよいのか? 

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カテゴリー:院長ブログ  投稿日:2012年9月30日

         

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