君の手を握る ☆
組曲『虐殺』を見た。 これは 天王洲 銀河劇場で 演じられたミュージカルなんだ。
そして、 これはまた、 秋田の没落農家の子に生まれ、働く者の悲痛な声を我が物として 生きた 「蟹工船」の著者、小林多喜二の生涯の記録なんだ。
29歳で 官憲に虐殺された抵抗と闘争の生涯が6人の役者と一人のピアニストによって、 騒然と オイラの心に 映写された。
多喜二の思想家的な面は、正直、オイラの肌には合わないんだよな。
でも、生き方に 一貫性があって、 ブレナイところは、グッときた。 多喜二の小説は 多喜二の 心に焼き付いて離れないシーンを映像のように ノートに浮かびあがらせているんだ。
これが、 群衆を ひっぱり そして官憲に、拷問という形で 虐殺されてしまう。 ものすごい 影響力をもった人だったんだ、なと、唸ってしまった。
彼には 奥さんも居たし 恋人もいた。 そんな 彼女たちに 多喜二はしばし 手紙を送ったんだ、そして最後に 必ず 『君の手を握る』 と書いたそうだ。 この 言葉とっても好きだ。
でも、オイラの 目に留まったのは 妻役の 神野三鈴の方だ。 彼女はこのミュージカルのピアノ担当の、JAZZピアニスト小曽根真の 人生での相棒なんだ。 この神野三鈴の演技が ド迫力だった。
彼女の演技は 正直 オイラの 肌にに合うんだ。 彼女は 多喜二の”命の砂時計”から、絶えず砂が落ちていくような 激動の空間を 妻の立場から 魂の演技で、演じきった。
まさに光ってった。 相棒の小曽根 真のピアノが 彼女の演技を 120%に持っていってるのかもしれない・・ ピアノは 音というより、振動だった。 あの、時代の振動が 来た。凄い!!!
神野三鈴の、役者としてのモットーを、後で パンフレットで見て、オイラは納得したよ。
“劇が伝えたいことを、豊かな『笑い』に包んで届ける” とあった。
この組曲『虐殺』 明るい話ではないんだ。 でも、彼女の演技からは、 むしろ 明るさ、希望を感じていたんだって。 あとで オイラ自身気が付いたよ。
オイラも、 医療人のひとりとして、男として、人として
自分を信じてくれる人達の、 手を握り続けて居られる存在に ならないと・・・ そんな、ザワザワトシタ 波がオイラを 包み込んでいった。
君の手を握る y・k
カテゴリー:院長ブログ 投稿日:2009年10月16日