Ceci n’est pas une pipe

Ceci n’est pas une pipe

P1120625.JPG絵が好きなオイラの部屋は画集で溢れているんだ。
見るたびに新発見があって、こころが研ぎ澄まされる。
この絵はオイラが特にひいきにしているベルギーの奇才ルネ・マグリッドの画集にあるもの。
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オイラのフェイバリットはこの岩の浮かぶ「ピレーネ城」で、みんなが知っている作品だとこの鳩のシルエットの「大家族」がある。

小学校の頃(当時オイラはマンガ家を目指していた)にパーマンの作者の藤子不二雄センセイがマグリッドの絵から感じたことが自分の作品の原点になっているとインタビュー記事に答えていたんだ。。
あのときyjimage-3.jpegはまさか藤子不二雄がAとBの二人いるとは知らなかったけれどね。 この事実を知ったときは、「どういう分担なんだろう?」って実に希代不思議だった。
 エラリークイーンみたいに、プロット構成と執筆に分けているのかと想像していたよ。

真相は「作品別」ってことがわかったときは”えっつ“首が前に出て舌はもっと先に出た。 
  マンガ家になりたかったオイラは、藤子先生と赤塚先生の作品をバイブルとしていたんだから。

冬休み最終日にたまたまマグリッドの画集をパラパラめくっていてこのパイプの絵に目が釘付けになった。
P1120627.JPGパイプの絵の題名は「イメージの裏切り」というんだけれど、いままで
「このパイプのどこが裏切り?」って思うだけでなく、失礼にも「マグリッドもたまには駄作があるんだな」
なんて勝手に包括していたんだ。

マグリッドは現実の世界の中で感じられる謎や不条理を描いている。
もっとも有名な作品はこのテーマだけで23枚も描いた「光の帝国」なんだ。同時に体験できない昼と夜が一枚の絵の中で組み合わさっているだ。ここで見る者は驚き喜びを舐める。この時、「感覚」はリリース、解放され、そして自由になり「常識」という空間の縛りから抜け出せる。

それでは話題をパイプの絵にもどそう。 イヤ、この表現は正しくない。 このパイプに見える絵に話題をもどそうだ。

今回、オイラの目に突き刺さったのは「Ceci n’est  pas une pipe」 ーこの絵と一緒に描かれているこの文字列だ。  画集を買ったときはベルギー語で「パイプの絵」とでも、かいてあるものなんだと思っていたよ。まあ、気に止めていなかった。
実際、5日前まではそのLa_victoire.jpg認識でいたよ。 そもそもベルギー語というものはない。これはフランス語だ。今ならこれくらいのフランス語なら翻訳できる。
 「これはパイプではない」・・・だ。
  げげ、じゃあ!な、なんなんだ。 この文字列がオイラの思い込みと常識を裏切り、不条理な世界へと誘った。  これは、拳銃か、サクソフォンか、さては望遠鏡か、・・・・

あーわからない。だってこれはパイプだろう?  だからパイプじゃあないってかいてあるだろう! なんだかトテツモナイ不安がオイラを襲う。どうしていいかわからなくなる。これは不条理だ。 と、同時に ヒントになる。    違う世界の扉が開いた!

この一枚はオイラに可能性を示唆してくれる。”まったく宝の持ち腐れ”とはオイラのことだったよ。
P1120629.JPG
若き日のマグリッドも、ある一枚に衝撃を受け作風が変化した。
そして扉を開けていったんだ。
それはシュールレアリスムの先駆者 デ・キリコの
「愛の賛歌」  ひとつひとつはありふれているのに、どこが不思議な感覚が残る。

オイラにとってこの「パイプではない絵」はマグリッドにとっての「愛の賛歌」と同じくらいの意味を持つんだと・・
そんなイメージが脳裏に投影された。

  

「Ceci n’est pas une pipe」へのコメント

師匠冬休みの期間に4カ国語習得をやり遂げた結果が
 今回のブログに書かれている 長年疑問であった
パイプの絵に描かれた文字がフランス語として読め
ルネ・マグリットのなぞのような『これはパイプではない』と言う文字にたどり着き驚く様子が目に見えるようです(常識的には、パイプ以外の何ものでもないから)
 
ある研究者のルネ・マグリット画家の分析の解説では
類似と相似の差異であり、両者の差異の因子を
『物はお互いの間に相似を持たず、相似を持つか持たないかのどちらかなのです……類似していることは思考だけの持ち前です』 とあります。
師匠の頭の中にこの絵(ポスター)の文字がヒントになって 違う世界の扉が開いた様子ですが 
凡人のオイラには ボーッとしか師匠の感動が解からない・・・
長年心のどこかに『?』として 醸造していた人にしか 閃かない扉でしょう。
全く、今回のブログは 理解が困難であったが お陰でオイラは
ルネ・マグリット画家の他の作品も観る機会を得た事が大きな収穫
師匠の頭の中では 継続と言う直線上で、多数の項目(語学、経済、美術、医学etc)が 複数個のROLLING STONE として幅を広げながら 夫々が磨かれていき 核心に向け進んでいるように感じます。

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カテゴリー:院長ブログ  投稿日:2014年1月9日

         

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